     | 第3回 電子海図とその表示装置について |  |
   | 「2002年7月1日に発効する改正SOLAS第・章(以後 改正SOLAS という)」の中の「航海機器等の搭載要件」について順次解説していますが,今回で3回目になりました。この情報は,マリンフォネットがこれまで収集したものにより構成されていますが,各国内での適用に関しては,別途関係各国の情報を参照されるようお願いいたします。今回は,電子海図(ENC)とその表示装置である電子海図表示装置(ECDIS)に関してお話しします。第2,19規則辺りの解説です。
●海図及び航海用刊行物 第2規則には,「海図」や「航海用刊行物」は政府が発行したものを指す,ということになっています。従って,民間で作成されたものは,正規の海図とは認められません。また,「 海図 」や「 航海用刊行物 」は19規則によれば 電子的なものも含まれる ことになります。海図に関してはENCとして,そのフォーマットが別途規定されていますが,航海用刊行物に関しては,規定されていません。これらのことから,,海図・航海用刊行物に関しては,次のことが言えるわけです。 −電子海図(ENC)は,紙海図と同様に正規の海図として認められる。 −航海用刊行物に関しても電子的なものが認められる。
●電子海図表示装置(ECDIS)について ECDISは,これまでも船舶上で使用されてきましたが,2002年7月1日以降は,正規の海図(ENC)の表示装置として認められます。それには少々条件があり,それが守られねばなりません。それは・・・, −正式な 型式承認を取得したもの であること。 −電気・機械的故障に備え,必ず バックアップを持つ こと。 −ECDISを既存船で使用する場合にも,上記条件が要求されること。 です。
他の多くの機器が,既存船に対しては新規に要件が課せられていないのに対し,ECDISは航海の安全面で極めて重要な意味を持つことから,新造船と同様な要件が課せられます。
◆疑問点:バックアップとは何を用意すればよろしいか? ECDISを正規の海図として搭載した場合,バックアップが必要となりますが,それはどの程度のバックアップのことでしょうか。電源のみ,コンピュータ部分のみをバックアップとして用意しても言葉の上ではバックアップになりますが,ここでは ECDISをもう一台搭載 するか又は 紙海図を用意 しておくことが必要とされます。電子海図は,将来は修正ある度に陸上から直ちに電子情報を取り寄せ,自動的にアップデートできますが,紙海図はたえず切り貼りしなくてはなりません。
その点の作業を考えて,ECDIS2台搭載にするか紙海図をバックアップとするかを決めると良いでしょう。
◆疑問点:従来使用していた型式承認無しのECDISは使えなくなるのか? 正規の紙海図が備えられていれば,これまで通り使用することは問題ないと解釈できるでしょう。これまでも,航海に関する判断はECDISではなく正規の紙海図によって行われていた筈です。航海の補助手段としてであれば使用が認められることと思いますが,これを 換装したときには(たとえ補助手段として搭載するとしても)正規の型式承認品が要求されます 。今回の改正SOLASでは,紙海図の他にENC/ECDISも正規の海図として認められるようになった,と解釈してください。
◆疑問点:補助手段としてのECDIS使用をPSCが認めてくれるか? 各国の事情もあり,難しいところです。少なくとも次の点は押さえておく必要はあるでしょう。
(第1点目) 正規の 航路計画作成とチェックは正規の紙海図又はECDISで行われている こと。その手順がISMに明記されていること。 (第2点目) 各種 安全確認は,正規の紙海図又はECDISで行われている こと。その手順がISMに明記されていること。 (第3点目) 補助手段としてのECDISの利用範囲が明確に定義されていること。 (第4点目) 正規の紙海図又はECDISが 実際に使用されている形跡が残っている こと。 (第5点目) 補助手段としてのECDISが2002年7月1日以前に搭載され稼働していたことを証明する手段。
◆注意:電子的航海用刊行物表示装置にもバックアップが必要? 航海用刊行物も含め,バックアップが必要です。これは将来の話でしょう。
◆疑問点:NAVTEX受信機は電子的刊行物表示装置? 統一見解は示されておりませんが,NAVTEX情報は単なる一時情報であり,恒久的な刊行物ではないとの見方が有力です。従って,NAVTEXのバックアップ装置も現状では必要ないと解釈できましょう。
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