     | 第6回 AISついて |  |
   | 「2002年7月1日に発効する改正SOLAS第・章(以後 改正SOLAS という)」の中の「航海機器等の搭載要件」について順次解説していますが,6回目の今回は,AISについて簡単に解説します。なお,この情報は,マリンフォネットがこれまで収集したものにより構成されていますが,各国内での適用に関しては,別途関係各国の情報を参照されるようお願いいたします。
AISそのものに関しては,これまでいろいろなところで解説されていますので,ここではその解説は省略します。主に搭載要件と問題点について,簡単に説明します。
◆AISとは何か と言っても,何の説明も無しでは「何をする機械なのかわからない」方もおられるといけませんから,必要最小限の説明をしておきます。
AISは,日本語では 船舶自動識別装置 (ここでは以下「AIS」と言います)と呼ばれ,各船舶が定期的に本船の位置を周囲に放送し,船舶の存在を他船に知らせることによって,衝突の危険を避けようとするものです。その場合,もちろん「本船位置を放送する」だけではなく,受信した他船の位置情報を利用して衝突の危険を回避することが必要とされます。
AISには,本船位置等を入力する入力端子,その情報を放送する送信部,他船からの情報を得る受信部,そしてその情報を表示する表示部が必要です。AISを有効に活用するためには,全船舶がこれを搭載し稼働させることが必要であることはもっともですが,衝突の恐れのない限定された海域を航行するような場合も考えて,現状では全船舶に要求されているわけではありません。
それでは,搭載要件の説明に移りましょう。
●AISの搭載要件 2002年7月1日以降に建造される船舶に対して; −国際航海に従事する300トン以上の全船舶 −国際航海に従事しない500トン以上の商船 −サイズに関係ない全旅客船
国際航海に従事する既存船に対して; −旅客船は2003年7月1日までに −タンカーは2003年7月1日以降のSE検査時までに −5万トン以上の船舶は2004年7月1日までに −1万トン以上5万トン未満の船舶は2005年7月1日までに −3000トン以上1万トン未満の船舶は2006年7月1日までに −300トン以上3000トン未満の船舶は2007年7月1日までに
国際航海に従事しない既存船に対して; −500トン以上の商船は2008年7月1日までに −サイズに関係ない全旅客船は2008年7月1日までに
(注)複数に該当する場合,早い方が期限となります。
それでは, 日本国内の対応 はどのようになるのでしょうか。最終的には,立法を待たなければなりませんが,その適用範囲は次のような内容であると予想できます。 2002年7月1日以降に建造される船舶に対して; −国際航海に従事する全旅客船
−国際航海に従事しない20トン以上の全旅客船 (20トン以上500トン未満の平水,2時間限定沿岸船を除く) (琵琶湖等限られた水域のみを航行する船舶を除く) −国際航海に従事する300トン以上の貨物船・漁船 −国際航海に従事しない500トン以上の貨物船・漁船
国際航海に従事する既存船に対して; −旅客船は2003年7月1日までに −300トン以上のタンカーは2003年7月1日以降のSE検査時までに −5万トン以上の船舶は2004年7月1日までに −1万トン以上5万トン未満の船舶は2005年7月1日までに −3000トン以上1万トン未満の船舶は2006年7月1日までに −300トン以上3000トン未満の船舶は2007年7月1日までに
国際航海に従事しない既存船に対して; −500トン以上の船舶は2008年7月1日までに −サイズに関係ない全旅客船は2008年7月1日までに
(注)複数に該当する場合,早い方が期限となります。
◆疑問点:AISを取り扱うには何らかの資格が必要か? AISは,電波を発射しますから,無線従事者の資格が必要になるのではないか,との疑問が出てきます。しかし,現状ではその運用に関しての詳細な取り決めがなされておりませんので,資格が必要になるかどうかははっきりしておりません。多くの利用者及び利用団体が「新規の資格が不要」であることを望んでいます。
◆AISで放送する位置の測地系が違ったらかえって危険? AISで放送する測地系は,全て「WGS−84」 に決められています。今後は世界的に全ての海図が,この測地系に 移行(海図の世界測地系移行の概要) します。
◆漁船では「操業位置を知られたくない」という事情がある! もともと「航行の安全確保」という面からAISの設置が義務付けられるわけですから,それ以外の理由(例えば「利権」,「費用」)によって設置や使用義務が免除されることは無いでしょう。もし,他の方法によって「確実に衝突を回避できる」という証明がなされた場合には,再度機器の搭載要件について見直しが行われることになると思います。AISの有効性については,まだ世界的実施結果のデータはありませんが,今回搭載義務が免除された船舶が,引き続き衝突事故を起こし,搭載義務が課せられた船舶の衝突事故が減少するとなれば,将来更に搭載義務が拡大されることになります。
◆機器の導入に関してはどこに問い合わせればよいか AISは,これまでにない新規設備です。従いまして,費用・機器寸法重量・取扱方法など,いろいろなことが一般には充分知識として伝わっておりません。設備導入に関しては, 日本無線株式会社 等自社でAISを開発から販売まで手がけている所にコンタクトすることがよろしいかと思います。  |  |
|
   |