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第7回
VDRついて
「2002年7月1日に発効する改正SOLAS第・章(以後 改正SOLAS という)」の中の「航海機器等の搭載要件」について順次解説していますが,7回目の今回は,VDRについて簡単に解説します。なお,この情報は,マリンフォネットがこれまで収集したものにより構成されていますが,各国内での適用に関しては,別途関係各国の情報を参照されるようお願いいたします。

◆VDRとは何か
VDR(Voyage Data Recorders) は,本船の状況を逐次回収可能なカプセル内に記録しておき,事故の際の原因解析を行うことによって,本船の事故の教訓を将来に生かそうという目的を持つものです。航空機における「データレコーダー」や「ボイスレコーダー」の船舶版と考えればよろしいかと思います。

一般には,設備が高価なこともありますが,事故の際に「責任をこれまで以上に追及されるのではないか」,「保険の受け取りに影響がでるのではないか」という心配から,拒否反応を示す場合もあるようです。しかし,本来の 目的は,「事故原因を正しく解析し,その結果を今後に生かす」 ということです。誰も事故を起こそうと思っているわけではありませんから,その点を正しく認識し,設置・運用されることが望まれています。

VDRに記録される情報には,次のようなものがあります。
日付と時刻  位置  船速  船首方位  船橋音声
通信音声  レーダー情報  水深  警報  舵角
主機への指令と回転数  開口部の状態
水密・防火扉の状態  加速度とストレス  風向・風速
これらの情報を,回収可能なカプセル内に記録するわけです。

それでは,搭載要件の説明に移りましょう。

●VDRの搭載要件
2002年7月1日以降に建造される船舶に対して;
−全旅客船
−3000トン以上の全船舶

既存船に対して;
−ro−ro旅客船は2002年7月1日以降の最初の検査までに
−ro−ro旅客船以外の旅客船は2004年1月1日までに

それでは, 日本国内の対応 はどのようになるのでしょうか。最終的には,立法を待たなければなりませんが,その適用範囲は次のような内容であると予想できます。

2002年7月1日以降に建造される船舶に対して;
−国際航海に従事する150トン以上の全旅客船
−国際航海に従事する150トン以上の全貨物船
−国際航海に従事する自ら漁労に従事しない3000トン以上の漁船
既存船に対して;

−国際航海に従事する150トン以上のro−ro旅客船は
2002年7月1日以降の最初の検査までに

−国際航海に従事する150トン以上のro−ro旅客船以外の旅客船は,
2004年1月1日までに

というように,国内事情を考慮して若干の緩和措置がとられることを期待できそうです。なお,上記の要件によらず,ro−ro旅客船以外の既存船舶に対しては,本船現存設備の状況を考慮してVDRへの情報入力が充分に行えないと主官庁が判断した場合には,その設置が免除される場合もあります。

◆疑問点:沈没した場合には誰が誰の費用で回収するのか?
運用要件については,詳細に決定されていません。2002年に開催されるIMOのNAV委員会で検討される見込みです。

◆VDRの設置義務は今後拡張される?
事故原因が正しく究明され,今後の海難事故減少に役立つとすれば,さらにVDR設置義務の拡大が行われても不思議ではありません。しかしながら,既存船は,VDRに接続するための船内電子情報を持っていない船舶が多く,設置を強制した場合には多くの不都合が生じてきます。このため,その実現性を調査するため,3000トン以上の既存船(貨物船)に対して設置義務を広げられるかどうかの検討を,次回以降のNAV委員会(IMO)で行う予定になっています。

◆機器の導入に関してはどこに問い合わせればよいか
VDRは,これまでにない新規設備です。従いまして,費用・機器寸法重量・取扱方法など,いろいろなことが一般には充分知識として伝わっておりません。設備導入に関しては, 日本無線株式会社 等自社でVDRやそれに接続する機器を開発から販売・サービスまで手がけている所にコンタクトすることがよろしいかと思います。
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